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生活社会科学研究会

2021年4月1日更新

生活社会科学研究会

概要

生活社会科学研究会は、主として生活社会科学講座の教員・学生・卒業生などによって、1994年に組織された研究会です。
主な活動は以下の通りです。

  • 毎年アップ・ トゥー・デイトな話題をテーマにしたシンポジウムや講演会などの開催
  • 会誌『生活社会科学研究』刊行(年1回)
    毎号、会員の投稿論文が審査を経たのち掲載されます。彙報には前年度の各教員の詳細な研究教育活動の記録や卒表論文、修士論文の題目一覧が掲載されています。
  • 生活社会科学講座に提出された優れた卒業論文に対する「生活社会科学研究会賞」授与
    2020年度授賞論文題目は下記の通りです。
    「若者のライフスタイルと地方との関わり 」
    「出産離職の傷跡効果 −妻のキャリア・夫の家事育児参加・性別分業意識に与える影響− 」

    「多様な性を尊重しあえる社会を構築するために教育現場に必要なこと 
    〜日米の高等学校における学生と教職員を対象としたLGBTに関する調査比較から〜 」

アーカイブ

『生活社会科学研究』のバックナンバーは、お茶の水女子大学附属図書館、生活社会科学講座助手室などで閲覧できます。17号からは、掲載論文のpdfファイルを、お茶の水女子大学リポジトリ“TeaPot”よりダウンロードすることができます。

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シンポジウム

2019年度シンポジウム(詳細は『生活社会科学研究』26号参照)

2019年度生活社会科学研究会シンポジウムは、「家族研究のフロンティア―博士学位取得者による研究報告」と題して、博士の学位を取得して間もない若いお二人の研究者をお招きした講演会を開催しました。
岡村理恵さん(2018年3月に博士の学位を取得、お茶の水女子大学グローバルリーダーシップ研究所・特任講師)には「『スマホ育児』に関する社会学的考察の試み」というタイトルでご講演いただきました。情報通信技術の発達は、たとえばスマートフォンの普及にみられるように、わたしたちの暮らしを大きく変えています。岡村さんのご研究は、子育てにおけるICT(Information and Communication Technology)の利用が、母親の役割適応や生活充実感とどのような関連をもつのかを問うものでした。データ分析の結果をふまえて、子育てにおけるICT利用は、母親によるsupport seekingとしての側面をもつものの、現状では育児資源としては限界があること、役割適応や生活充実感に対して重要な意味をもつのは、父親の育児参加や祖父母のサポートであるという知見が紹介されました。
田嫄さん(2019年3月に博士の学位を取得、お茶の水女子大学みがかずば研究員)は、「仕事と家事・育児に見る中国家族の現在」というタイトルでご講演くださいました。田さんのご研究では「80後(バーリンホウ:1978年から1989年生まれ)」と呼ばれる世代の生殖家族に着目して、改革開放政策のなかで、中国の家族生活がどのような変貌をとげているのかに注目されています。詳細なインタビューの分析の結果、80後は常に保守的なジェンダー規範と男女平等のリベラルなジェンダー規範との絡み合いの中でライフスタイルの選択をおこなっていること、仕事と家事・育児の調整における葛藤が深刻化していること、80後女性の就労中断は「戦略的」であり、女性のジェンダー意識の「保守化」と同義ではないこと、などの興味深い知見が紹介されました。
お二人のご研究は、ICTの急速な発達、あるいは中国の急速な市場経済化という、今まさに進行している事態が、家族生活にどのようなインパクトをもつのかを問うもので、「家族研究のフロンティア」と呼ぶにふさわしいものでした。刺激的なお二人のお話を受けて、講演後には活発な質疑応答が行われました。
シンポジウム後は、花経会の共催による茶話会が開催されました。卒業生、現役の学生、教員も交えて、なごやかな交流の機会となりました。

学生の感想

「ICT利用による育児困難の度合いや生活充実感を知ることで、育児に悩む父親母親へのサポートの仕方・対策がしやすくなると思います。日本の親が心配するほど、他国に比べてスマホ使用が少ない結果にはとても驚きました」/「近年、スマホは財布よりも外出時に必要なものになりつつあり、生活必需品であると言っても過言ではないと感じています。そこで、むやみに子どもをスマホから引き離すのではなく、幼い頃から上手にデジタルコンテンツと付き合う方法を教えていく、一緒に学んでいくことがこれからは求められているのではないかと思いました」/「スマホ育児という言葉自体は耳にしたことがありましたが、実際には周りに子育て世代の知人がいないこともあって、具体的な中身を知らなかったので、お話を聴けてよかったです」/「スマートフォンの育児利用に対し、批判的な面が大きいように思っていたが、ゲームだけではなく、情報の取得、連絡手段など必ずしもマイナスでない面もあると気付きました」

「一人っ子政策」がもたらしたバーリンホウの存在と価値観が家族形成の変容に大きくかかわったのだとわかりました」/「70後と80後の比較からは、異なる点が多くあり面白いと思った。リベラルなジェンダー規範を定着させることと同時に、男性が育児をしやすくなるような環境を整備していくことが重要であることがわかった」/「女性の総労働時間が男性よりも長いことに驚きましたが、女性が二重役割を担っていることや男性の方が生産性が高いとみなされている点では日本と同じであり、やはりまだ女性の社会的地位の向上は発展の進む中国でも実現していないことを改めて理解しました」/「中国でも日本と同じような性別役割観があるということや、仕事と家事・育児に関しては、年代によって大きく違いがあることを初めて知りました」

文責:西村純子

2018年度シンポジウム(詳細は『生活社会科学研究』25号参照)

2018年5月26日(土曜日)14時から、大学本館306室にて、生活社会科学研究会シンポジウムが開催されました。
2017年4月に赴任された豊福実紀先生(政治学・公共政策)が「所得税の配偶者控除と政治」について、また2018年に赴任された西村純子先生(家族関係論、社会福祉学、家族社会学)が「女性の就業と子育て―1990年代以降の変化」についてご講演をされました。
まず豊福先生のご講演です。非課税限度額である「103万円の壁」は、女性のパート就業の壁として多くの研究にとりあげられています。しかしそれがどのようにつくられ、さらに何度も議論されながらも維持されてきたのかについてのお話しです。この制度は1960年代の創設当時は農業・自営業者を重要な受益主体としてつくられたこと、高度成長期には、自民党が給与所得者むけに給与所得控除を拡充したことによって非課税限度額があがり、やがて正社員の平均年収の25%くらいまで、配偶者の給与収入が認められるようになったこと。こうした変化の背景には自民党の選挙インセンティブ、特に中選挙区制度が大きいものでした。しかしパート課税が話題となったのは、1980年代がはじめてでありました。その後、バブル崩壊後には、増税、女性の就業の両面からこの制度の改正についての議論がありましたが、結局、受益者の反発を配慮し2017年の改革においても配偶者控除が継続されたことが示されました。つまり利益分配の観点から政治的に維持されてきたのだという興味深い報告でした。
西村先生のご報告は、1990年代以降の子どもを育てる女性の働き方にどのような変化があったのか、またそれにともなって家族はどのように変化したのか/しなかったのかについて、複数のご著書に基づくものでした。1990年代以降、第1子出産後の女性の就業率があがってきていること、その際に、親族(とりわけ女性自身の母親)からのサポートがどれだけ得られるかが、近年になるほど、より大きな影響をもつようになっているという興味深いご指摘でした。1990年代以降、保育園の拡充が図られ、保育の社会化の機運が高まってきたにもかかわらず、親族の支援がとても重要になっているような今日の働き方をどう考えるべきなのだろうかという疑問を提示されました。また地域における多世代の子どものかかわり、そうした地域社会の在り方、そういったことも今後の研究課題としていきたいという、意欲的な今後の研究の方向性についても述べられました。西村先生がなぜこのような研究に関心を持たれたのか、会場から質問が出ました。これに対して、ご自分が大学を卒業するころに、民間企業に勤務しながら子どもを持てるという見通しが立たなかった、これがこの研究に自分を向かわせた理由なのです、というご回答は多くの共感を得たのではないでしょうか。
素晴らしいお2人の先生方を生活社会科学講座にお迎えできて、本当に喜ばしいことだと、生活社会教員学生一同、とても嬉しい気持ちで、ご講演を伺いました。
また16時より大学本館103室にて花経会のご厚意でおいしいお菓子をいただき茶話会が開催されました。
(永瀬伸子 記)

学生の感想

<豊福先生>
「配偶者控除が時代おくれというわけではなく、自民党の選挙インセンティブに基づく利益配分の結果、変化しつつ持続されてきたという見方はこれまでになく新しいと感じました」/「農業・自営業者向けの減税であったことに驚きました。政治的にみても農業・自営業者の支持を得ることはこの時代に大事だったとわかりました。」/「女性が働くようになっているので時代遅れな制度と思っていたが様々な変容を経て残っているので時代遅れではないというお話しが興味深かった」/「今回の改正でますます廃止が難しくなったとわかりました。」/「専業主婦のための制度だと思っていたので、農・自営業者から共働きにニーズが移ったという見方が正しいということをはじめて知った」/「政治の選挙インセンティブに左右されて女性の選択肢が狭められてきたことを考えると非常に後進的な国のやり方ではないかと思った。女性就労の時代にいよいよ合っていない」/「他の先生方からの質問がとびかっている質疑応答の時間は興味深い内容ばかりで、1つの問題を政治、経済、社会学、法学から考えていく、まさしく社会科学を体現していると感じた」/「私は経済学の視点からこの問題を考えてきたが、政策を実現するのは政治です。政治学の視点から考えなければ解決されない問題であると強く思いました。」/「維持された理由がわかって面白かったです。でも選挙インセンティブを理由にしてしまうのはあまりにさみしい気がします」/「私自身アルバイトで稼いでいると103万円をこえないようにと親からしつこく言われます」/「私自身最近この103万円の壁になやんでいます」
<西村先生>
「私も将来的には子そだてをしてみたいと思います。仕事もしたいです。今回のお話しはそのような女性にはかなり興味深いものだったと思います」/「子育てをしながら仕事をできるのか、と考えたときにとても自信がないです」/「夫が多くの家事育児をするかしないかについて妻の働き方による負担感の差がないという結果は意外だと思いました」/「私の母もパートで働き始めたのですが、父は家事を手伝わないので母の負担が増える一方だと感じています」/「経済不況をどの時期に経験したかによってグラフが異なるのが面白いと思いました」/「地域社会のささえあいを言及されましたが、子どもに対する地域社会内での犯罪が問題視される中、地域社会のネットワークが弱まっているように感じるので、この役割は市場が担うようになるのではないかと感じました」/「女性のストレスに関する資料と就労・子育てをむすびつけるのははじめて見て、心理的な観点を女性の働きやすい環境づくりに入れるのは大事と感じた」/「若い人の方が出産後正社員として戻ってくるというのは面白いと思った」/「実母との同居・近居が負担感に影響するというのは、居住地が勤務地を制限しかねないという意味において女性のキャリア選択に不利なのではないかと思った」/「非正規女性は育児休業制度をつかいづらく退職せざるを得ない・・・女性のキャリア格差はどうやわらいでいくのか気になった」
<全体>
「自分の専門を深めていくことのおもしろさを改めて感じました。お2人ともとても楽しそうに語っている姿が印象的でした」 

2017年度シンポジウム(詳細は『生活社会科学研究』24号参照)

2017年6月3日(土曜日) 14時から大学本館306室にて、生活社会科学研究会シンポジウムが開催されました。学部時代を生活社会科学講座で過ごされ研究職についたお3人においでいただきました。それぞれが、どういうきっかけで研究職につくことになったのか、学部時代を振り返り、大学院時代にはどのような苦労があったのか、ワークライフバランス、そして、研究職の喜びと苦労についてお話しくださいました。学部時代の授業にどう触発されたのかなど、学生にはとても意義深い経験だったと思います。

  • 竹沢純子さん 国立社会保障人口問題研究所室長「国の研究機関で働く-進路選択から現在に至るまで-」

竹沢純子さんは生活社会卒業後、直接大学院に進み計9年間在籍、この間結婚、第1子出産を経て、現在の国立研究所に採用され「社会保障費用統計」の作成に従事されています。社会保障、特に家族政策の国際比較が研究テーマであり、博士論文は「家族政策にかかわる統計とその課題に関する研究」です。博士論文は就職後3年目の第2子出産直前に提出、論文審査・修正は、産休のみで職場復帰した後に、上司の理解と家族の協力を得て取り組み、産後10か月で博士号を取得されました。
学部時代の授業がいろいろな関心につながっていったという話もされました。学部で篠塚英子先生のゼミで研究職への志望を固めたといいます。大学院では永瀬伸子研究室におられ、お茶の水女子大学COE「ジェンダー研究のフロンティア」で行ったソウルと北京のパネル調査の実施と分析に、研究員として熱心に従事していた姿を思い出します。大学院博士課程3年目に親元から自立、3人で一軒家に共同生活する形で出費を工夫され、育英会奨学金とアルバイトで大学の近くで一人暮らしをはじめられたといいます。
40歳の時にご夫君とお子様を含めご家族4人でフランスパリのOECD雇用労働社会局社会政策課に出向されます。そこで社会保障、家族政策、女性労働、住宅の国際比較を研究され、大きいステップアップを体験されたと思います。
最後に3つの点を後輩に伝えられました。①ここぞというチャンスは確実につかみ、活かす。そのための計画、準備をしておく。 ②自分には出来ないと思うことにも挑戦してみることで、だんだんとこなす力、度胸もついてくる。③自分が第一人者になれる分野に狙いを定めて、専門性を高める。

  • 宇津野花陽さん 白鴎大学教育学部児童教育専攻専任講師 「研究職に就くまで―進路選択のひとつの事例として」

大学入学後のガイダンスで家庭科の教職課程について知り、家庭科教職をとられました。このことが進路選択の幅を広げたといいます。牧野カツコ先生に出会い、「家庭科教育法」の授業で家庭科に深く興味を持ち、家庭科教育を研究対象としますが、大学院時代は、研究と勉強が違うこと、研究の難しさを感じられたといいます。しかし現在は、大学教員として、小学校教員養成課程の家庭科の授業を中心に担当し、教育、研究、大学運営の仕事に忙しくされています。家庭を持ちつつワークライフバランスをとることは難しいとはいえ、教員はとりやすい方かもしれないといわれます。また、ずっと学び続けることのできる仕事であるということをおっしゃいました。
学部生には、大学で学ぶことはいろいろな形で将来につながっていく。だから恵まれたお茶の水女子大学の研究環境を生かすとともに、興味あることを楽しんでください!というメッセージをくださいました。

  • 藤田智子さん 東京学芸大学教育学部生活科学講座准教授「進路選択といま―生社での学びと家庭科教員免許を活かした大学教員としての仕事」

藤田さんは、卒業後出版社に就職されましたが、1年ほどで大学院に戻っておいでになります。お母さまが家庭科教員であり、その影響もあって、家庭科教育及び家政学(生活科学)に興味をもったということです。家庭科教育法の授業や教育実習で家庭科の魅力を再確認したとはいえ、民間企業に就職するかどうか、教員になるか、さらには進学するかどうかで悩まれたそうです。藤田さんの卒論は、司会の私は今も覚えていますが、「ダイエットブームの実態と背景――女性雑誌を通しての考察」というとても立派なものでした。そして1年の出版社での勤務を経て大学院に進学されます。博士論文は「青年期の身体像と食生活行動――日常知と学校知の観点からの家庭科教育の検討」です。投稿論文や書籍の分担執筆を経験して、研究が形になることの喜びを知る一方で、博士論文をどう書いたら良いか「ジタバタ」されたのだそうです。ご本人曰く「1年間の高学歴ワーキングプア」を経て、名古屋女子大学家政学部に採用され、その後現在のお仕事に至っておいでです。学生が教職を志望するかどうかに、大学教員が大きく影響することを実感し、家庭科教員免許をとるメリット、それから生活科学を専門とした研究職につくメリットを話されました。現在は東京学芸大学で、初等家庭科教育法、中等家庭科教育法、事前事後指導、入門セミナー、教職実践演習などを担当されています。東京にある教員養成の基幹大学の教員として、複数の学内プロジェクトへの参加、附属校と連携した授業実践的な研究、附属校の研究会(校内研、公開研)での指導助言、公立の学校での研究会の講師、教育実習訪問指導などに携わりつつ、学会の役員を務めたり、最先端の研究業績を出し続けることも求められるということで、司会としても、その大変さはとてもよくわかります。大変なことも多いですが、今のポストでは、大学での学びを活かすことができ、大学の先輩方とのつながりも非常に深く、なにより研究を社会(特に学校教育)に還元できるというメリットがあるということです。牧野カツコ先生に学び、その後石井クンツ先生のご指導を受けました。
それぞれ立派になさっていることだなあと心から応援したく思いました。
16時より大学本館103室にて花経会のご厚意でおいしいお菓子をいただき茶話会が開催されました。
(永瀬伸子 記)

学生の感想

「どの方も大学時代に教授の言葉や授業の面白さをきっかけに将来の方向性をさだめていらっしゃり、大学生活の重要性を感じるとともに、どこで自分の興味がみつかるかわからないなと感じました」/「なるべく早く就職したいと思っていましたが、こんな生き方、こんな道もあるのだなと気づかされ新鮮なものでした。専門をつきつめそれをダイレクトに生かせるというのも魅力的だと思いました。」/「なんとなく生き急いで、じっくり物事を考えたり調べたりとすることを避けがちな自分とちがって見習いたいと思いました」/「3人の先輩の話を聞き、研究というものへのイメージがかわった」/「一度民間企業にいってから大学院に戻るという道をはじめて考えることができた」/「研究者でも仕事と子育ての両立ができるとわかった」/「長く時間がかかると知った」/「就職してからも大学に戻るということを先生がサポートしてくださる体制があることを知り安心した」/「先輩がかっこいいなと思った」

2016年度シンポジウム(詳細は『生活社会科学研究』23号参照)

2016年5月28日(土曜日)

2016(平成28)年度生活社会科学研究会シンポジウムは、本講座の卒業生である鹿住倫世氏(家経15期)、新井麻衣子氏(生社8期)、広石真珠子氏(生社15期)、若松悠夏氏(生社16期)の4人をお招きし、「生活社会科学講座卒業生が創造するイノベーションの世界」と題して行われました。
今回のシンポジウムは、花経会(家庭経営学科、生活社会科学講座の卒業生で構成されるOG会)会長で専修大学商学部教授の鹿住倫世氏のミニ講演「イノベーションと女性」からスタートしました。鹿住氏はご専門の立場から、女性が切り拓く新たな局面をイノベーションに関する最新の理論をもとにご説明くださいました。ご講演により、その後の報告者の話を理論的に理解することが可能になりました。次いで、3人の報告者が現在の仕事や自分自身のキャリアについてお話し下さいました。新井氏は観世流シテ方能楽師としてご活躍であり、能楽という男性社会の中でいかにして現在の地位を獲得したのか、その経緯についてお話くださいました。広石氏は転職を経て株式会社リクルートマーケティングパートナーズに勤務されており、前職での働き方、転職の動機、現在の仕事のやりがいについて語って下さいました。若松氏は非営利法人企業間フューチャーセンターを起業され、卒業後から起業するまでの経緯と現在の仕事の内容についてお話下さいました。報告者のお話に共通していたことは、人間関係を大切にし、周囲を巻き込みながら環境を変革させていったことです。生活社会科学講座の卒業生たちが、様々な場所で新しい挑戦を続け、未来を切り拓いていることは本当に誇らしいことです。講演後の質疑応答も活発に行われ、シンポジウムは閉幕しました。
シンポジウムの後は、アットホームな雰囲気で、花経会の共催による茶話会が開催されました。卒業生、現役の学生、教員も交えて、親交を深めることができました。

参加者の感想より(一部抜粋)
  • 事業をつくるというイノベーションのイメージとは違う「道を切り開く」というイノベーションもあるということを知ることができました。
  • 周りを巻き込むことや偶発的な出会いを大切にするという言葉が印象的でした。エフェクチュエーションモデルで可視化することで、自分のやりたいことやするべきこと、手段や目的等が明らかになると思いました。
  • 私は女性であることが将来を考えたときにマイナスであると感じることがおおかったのですが、新井さんのお話で、女性は男性のできない人生経験ができて、その可能性は無限大!とおっしゃるのを聞いて、すごく納得して、捉え方が大きく変化しました。
  • 今日いらっしゃった先輩方から、私は「前向きさ」を強く感じました。これまで女性に許されてこなかった道を進んでいる新井さんの生き方や、「嫌な仕事をしている時の心の持ち方が大切」という広石さんの言葉にとても共感できました。
  • もともと起業にも興味があったので、今日のイノベーションのお話しや先輩方のライフコースを聞く中で勇気が湧きました。もう少し、自分のやりたいことに素直になって、自分の人生をつくっていきたいと思います。
  • 今回いらっしゃったゲストの方々のお話しからは、「常識的な制約や思い込みはいったん外して考えよう」というメッセージが読み取れたような気がしました。このシンポジウムを通して視野が広がったと感じます。
  • 仕事の能力・スキルの面だけでなく人間としてもどのように成長していきたいか、それを考えるとこれから先のことに不安よりも希望を持つことができそうだと思いました。
  • 視野を広く持って決めつけをしないこと、人とのつながりを大切にして人脈を自ら広げていこうとすることも重要なのだと感じました。

文責:斎藤悦子

2015年度シンポジウム(詳細は『生活社会科学研究』22号参照)

2015年6月20日(土曜日)

2015(平成27)年度生活社会科学研究会シンポジウムは、生活社会科学講座の卒業生である清板智子氏(生社8期、株式会社インテージ)、稲舘史子氏(生社12期、日本銀行)をお招きし、「生活社会科学講座の先輩大いに語る…卒業生からのメッセージ」と題して、行われました。

最初に両氏から、それぞれ、マーケティング・調査及びシステム設計、経済統計の仕事について、現場の第一線における経験に即した具体的なお話をして頂きました。続けて、両氏から、自らの学生時代に触れながら、後輩に対して、メッセージが送られました。大学における学問に加えて、部活動、インターンシップ、職業体験等の課外活動の重要性が強調され、皆、真剣に聞き入っていました。講演後の聴衆との質疑応答も活発に行われ、シンポジウムは閉幕しました。

シンポジウムの後は、アットホームな雰囲気で、花経会(かけいかい、家庭経営学科、生活社会科学講座の卒業生で構成されるOG会)の共催による茶話会が開催されました。卒業生は旧交を温め、現役の学生、教員も交えて、親交を深めることができました。

参加者の感想より(一部抜粋)
  • 就職活動を考える際に、大学での学びとは異なるところで考える傾向がありましたが、興味を持つきっかけはどこにあるか分からず、今ある日常の中で少しずつ将来について考えて準備することが重要なのではないかと感じました。
  • お二方のお話を伺って、まだまだ学びが浅いと感じ、未知の分野や領域が多く存在することを気づかされたので、わからないからと扉を閉じてしまうのではなく、視野を広げて様々なことに挑戦していきたいです。
  • 仕事も根本にあるのは「人」だというのがとても新鮮でした。
  • 学ぶことはエンドレス…納得しました。
  • 今の学生生活で、もっといろんなことや人に触れたりすることは、とても大切だと感じたので、自分から積極的にやっていこうと思います。大学2年になって少したるんでいる自分に、もっと頑張ろうと思えるいい機会となりました。
  • 生社の先輩方のお話をきくことで、生社だけでなくお茶大全体の伝統を感じることができ、受け継がれてきた研究姿勢を、自分もまっとうしなければならないと思いました。
  • プロ、専門家という言葉がお二方から出て、仕事をするということはどんなことでも極めれば実を結ぶのかなと思いました。信用されて、この人にならまかせられると思われたらプロと言えるのかなと感じました。
  • 同じ講座出身者の活躍をきくことは、勿論自分自身の将来を考えることだが、それ以上に自分の今を考える、分析する契機となり、有意義な時間であった。 

文責:大森正博

2014年度シンポジウム(詳細は『生活社会科学研究』21号参照)

「家庭経営学から生活社会科学へ…卒業生の歩み」

2013年度シンポジウム(詳細は『生活社会科学研究』20号参照)

舘かおる先生講演「お茶の水女子大学におけるジェンダー研究・教育の展開」

2012年度シンポジウム(詳細は『生活社会科学研究』19号参照)

「生社新任教員2名、大いに自分を語る」

  • 斎藤悦子准教授講演「ワーク・ライフ・バランスとは何か---生活時間調査から見えてくるもの―」
  • デ・アウカンタラ・マルセロ准教授講演「家族法研究を通じて私が感じていること」

2011年度シンポジウム(詳細は『生活社会科学研究』18号参照)

戒能民江先生講演『私のジェンダー法学研究』

2010年度シンポジウム

 「大学から社会へ〜さまざまな進路〜」

2009年度シンポジウム

「家族の行方」

2008年度シンポジウム

「"家族"研究の魅力 –大学時代に何をどう学ぶか」

2007年度シンポジウム

「デンマークの生活価値観に学ぶもの」

2006年度シンポジウム

「大学教育を問う –日本の大学・世界の大学」

2005年度シンポジウム

「生活科学部のゆくえ –家政学から生活科学へ–」

2004年度シンポジウム

「女性の就労とキャリア形成II –資格と専門職–」

2003年度シンポジウム

「女性の就労とキャリア形成」

2002年度シンポジウム

「お茶大卒業生のライフコース」

2001年度シンポジウム

「女性と職業 III <マスコミ・出版> –卒業生からのメッセージ –」

2000年度シンポジウム

「福祉国家から福祉社会へ」 講演 正村公宏(専修大学教授)

1999年度シンポジウム

「ゼロ金利とは何か」篠塚英子(日本銀行政策委員会審議委員 元本講座教授)

1998年度シンポジウム

「女性と職業II –卒業生からのメッセージ –」

1998年度シンポジウム

女性と職業 –卒業生からのメッセージ

1997年度シンポジウム

高学歴時代の女性 &ndash女子大学からのメッセージ

1995年度シンポジウム

国際家族年を考える

バックナンバー

バックナンバーはこちら

 http://www.lib.ocha.ac.jp/oab/42seikatsu/listOfIssue.html

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