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2025年7月24日更新
「女性の労働と制度」 (2025年6月28日開催) 2025年度生活社会科学研究会シンポジウムは、「女性の労働と制度」のテーマのもと、会員による以下の研究報告が行われました。 永瀬伸子(お茶の水女子大学・大妻女子大学)「日本的雇用慣行の本質的な変革に何が必要か」 豊福実紀(お茶の水女子大学)「年収の壁をめぐる政治」 三枝馨・静間彩乃・長束文(お茶の水女子大学)「女性のキャリアとライフステージ―お茶の水女子大学卒業生17名への聞き取り調査から―」 永瀬会員による報告は、日本で女性が働き続けながら子育てもできるような制度・環境の整備が立ち遅れていることを指摘し、日本的雇用慣行の特性を部分的に維持しつつも女性の雇用をめぐる制度を変革する可能性を示すものでした。 豊福会員による報告は、日本における女性の「年収の壁」の維持に、階級平等を志向する左派・中道政党が重要な役割を果たしてきたと論じ、政党が一貫性ある選択肢を提示できていない問題を指摘するものでした。 三枝会員・静間会員・長束会員による報告は、お茶大卒業生に対するインタビュー調査を通じて女性のキャリアの分岐点における葛藤を探り、その背景にある社会構造的な問題の解消を訴えるものでした。 これらの報告に対して、永瀬会員と豊福会員によるコメントに加えて、会場やオンラインの参加者から多くの質問やコメントが出され、活発な議論が交わされました。シンポジウム後の懇談会においても、和やかな歓談が続きました。 文責:豊福実紀