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2024年7月2日更新
(詳細は『生活社会科学研究』29号参照)
「令和4年度生活社会科学研究会総会および講演会」が、令和4年5月28日(土)に開催されました。総会に引き続き、戒能民江氏(お茶の水女子大学名誉教授)に「女性支援の法律学-困難な問題を抱える女性支援法立法に関わって」と題して、御講演を頂きました。政府の『自殺対策白書』によれば、Covid-19禍の2020年に女性の自殺者数が前の年より15%以上増え、生きづらさを抱える女性の存在が浮き彫りになり、支援の必要性が叫ばれています。これまでの行政による支援は、主に1956年制定の「売春防止法」に基づく「婦人保護事業」として実施されてきましたが、社会の変化と共に制度改正が求められ、ようやく2022年5月に女性支援新法(正式名称「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」)が成立しました。この法律の制定に尽力され、生きづらさを抱える女性に寄り添って活動をされてきた戒能氏から、詳しい経緯の解説を頂きました。戒能氏は、旧来の保護するという「上から目線」ではなく、女性の人権を保障し、当事者中心の支援をするという姿勢への転換が必要であることを強調されました。お話の後、活発な質疑応答がなされ、盛会の内に閉会しました。
文責:大森正博