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学部長からのメッセージ

2024年10月1日更新

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生活科学部のホームページへようこそ。

お茶の水女子大学生活科学部は人間生活学科、食物栄養学科、心理学科、人間・環境科学科(令和5年で募集終了)の4つの学科から構成される学部です。ところでこの『生活科学』とはどのような学問なのでしょうか。生活科学とは、人間の視点に立ち生活の質的な向上を図るための学問です。よりよい人の生活とは何か、どうすれば人々の生活をよりよくできるか、という視点に立ち、生活に関係するさまざまな問いを提起し、そしてその問いに学術的な答えを見出していく学問なのです。

生活科学部の教育と研究は多様な内容を包含しています。例えば「食」を例にとってみましょう。食というのは人間の身体を維持するための栄養学的な側面が重要であるとともに、調理や食事という人の行動がもつ意味や価値も同じように重要です。さらに食事に用いる食器や家具などは、文化の結晶であり、そこに歴史が凝縮されています。また、今やごく日常的な食品ですら、その開発・生産・流通はグローバルな規模で展開しており、そこでは自然科学や科学技術の力が必要不可欠であると同時に、国際社会の動静や気候変動、災害や戦争なども影響してきます。このように人間の生活の一端である「食」一つをとっても、その視点や局面は多彩であり、それ故に「生活科学」というひとまとまりで研究・教育をおこなうことが意味をもつのです。

本学部は1899年に設置された技芸科を皮切りとし、家事科、家政科、さらには家政学部と名称を改めてきました。その後、家政学部を改組して1992年に発足したのが生活科学部です。家政学部から生活科学部への改組は、個別の研究・教育の専門分化が進展したことに加え、現代人の日常生活が家庭内で完結しているわけではなく、政治や経済、医療や福祉、あるいは都市化・産業化、などあるゆる側面と密接な関係にあるという認識が明確になってきたことが背景にあります。またジェンダー論的な視点、芸術性やデザイン、また消費や情報の側面への関心が強くなってきたことへの対応という面もあります。さらに、人間にとって普遍的な「からだ」と「こころ」に関する研究も、生活科学の一端を担うようになりました。長い歴史の中で幾度かのマイナー・チェンジを重ねながら、生活科学部は、以前に比べてはるかに広くかつ専門的な研究領域を包含し、発展してきたのです。

生活科学とは人間の生活をよりよくするために人文科学、社会科学、自然科学、環境工学などのさまざまな学問を応用した、学際的かつ文理融合的な学問です。そして今後も「よりよい人の生活とは何か」「どうすればよりよくできるか」とつねに問い直し、生活科学部の更なる発展をめざしていきたいと考えています。

2024-25年度 生活科学部長  飯田 薫子

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